X-Plane11用のフォトシーナリーを作るための準備ができたら,実際に作成してみましょう。
準備が整っていれば,作製作業は難しいものではありません。
実際に作製して,シンボリックリンクでX-Plane11に組み込む作業とともに説明します。
X-Plane11導入日記(その27)
Ortho4XPでフォトシーナリーを作る
前回の記事で説明したように,Ortho4XPをコンピュータ上に導入しておいてください。
フォトシーナリーを作る工程で,作業ファイルがたくさん作られますのでスピードの速い容量に余裕のあるディスク上にOrtho4XPフォルダーを置くとよいでしょう。
私は,とりあえずSSDで構成しているシステムディスクのデスクトップ上に置くことにしました。
Ortho4XPでフォトシーナリーを作る工程
Ortho4XPを起動する
Ortho4XPの実行ファイルは,”Ortho4XP”フォルダー内にある”bin”フォルダー内にある”Ortho4XP_v120b.exe”です。
頻繁に使うようでしたら,ショートカットを作っておくとよいでしょう。
この”Ortho4XP_v120b.exe”をダブルクリックし管理者権限で起動します。
起動すると,黒い四角の”cmd”モード画面と,GUIウインドウの2つが起動します。
先の記事で触れたように,”Ortho4XP_v120b.exe”の互換性をWindows7に設定していない場合,Ortho4XPは起動しません。

起動直後のOrtho4XP 背後左の黒い四角が”cmd”画面
フォトシーナリーを作製する区域を指定する
Ortho4XPでフォトシーナリーを作製するとき,デフォルトの作製単位は緯度経度1度の範囲となります。
Ortho4XPウインドウの一番上にある”Earth Tile map”をクリックします。
地図が別ウインドウで表示されます。
この地図は,右クリックでドラッグすると位置を移動できます。
初期値では,ヨーロッパあたりが表示されているので,右ボタンを押したままドラッグして日本周辺を表示させます。
表示できたら,フォトシーナリーを作製する区域をダブルクリックして指定します。
例として,広島市周辺エリアを指定しました。
指定すると黄色い四角が表示されます。
作製区域画像の提供先を指定する
フォトシーナリーの元になる画像の提供先を指定します。
日本エリアを提供しているのは,”BI”(Bingの地図)と”JP”(日本2007のイメージ)ほかがあります。
けれども初心者の私が,作る事ができたのは”BI”だけでしたので,”BI”を指定して作製工程を説明します。
作製区域画像を確認する
Base Sourceに”BI”を指定して,右横の”Choose custom zoomlevel”をクリックします。
新しい”Preview”ウインドウが表示されます。
このウインドウで,Sourceを”BI”,Zoomlevelは11のままで,”Preview”ボタンをクリックします。
念のために,Zoom Paramは”ZL16”にしておきます。
すべてのエリアの画像が表示されていることを確認したら,”Save & Exit”をクリックしてPreviewを終了します。
選んだZoomlevelが16になっていることを確認します。
このZoomlevelは,画面の解像度を選ぶものであり,数値が高いほど精細なデータになりますが,ファイル容量が増えます。
作製してみるとZoomlevel:16で一つの区域が約2GBになります。
このレベルで実感ある風景になりますから,必要以上に高解像度にする必要はないと考えます。
作製プロセスを順番にこなす
区域指定が終了したので,作製プロセスに入ります。
この工程は,少し時間がかかります。
ステップ1から3を順番に実行する
Ortho4XPウインドウにある”Build vector data”の欄にある”Step 1”ボタンをクリックします。
作成プロセスは,右側の白い窓の中に表示されます。
終了すると,次のような表示になります。
この例では,作業時間は2分くらいです。
このプロセスが終わったら,”Step 2”をクリックしてBase meshを作ります。
そして”Step 2”終了後に,”Step 2.5”をクリックします。
続いて”Step 2.5”終了後に,”Step 3”をクリックします。
作業行程は,右側のウインドウに表示されていきますが,うまくいかないときはリトライを繰り返しますので,そういう時は画面下の”Stop Process”をクリックして強制終了させることができます。
強制終了したプロセスの前までの結果は,保存されています。
そのため,設定を変えて失敗したプロセスを再度やり直すことができます。
成功したプロセス結果は次のようになります。

Step 2の結果

Step 2.5の結果

Step3の結果
オーバレイデータを作る
つぎに,フォトシーナリーの上に表示する道路や電力線のオーバーレイデータを作ります。
データ作成の参考にするフォルダーを指定する必要があり,X-Plane11の”Grobal Scenery”フォルダー内にある”X-Plane11 Grobal Scenery”を指定します。
この指定が誤っていると,エラーを表示してプロセスは停止してしまいます。
”(Build overlay)”ボタンをクリックしてプロセスを開始します。
プロセスが終了すると右側ウインドウに次のように表示されます。

Build Maskの結果
作製したフォトシーナリーをX-Plane11に組み込む
フォトシーナリーを格納場所に移動しシンボリックリンクを作る
出来上がったフォトシーナリーは,一つのフォルダーにまとめられ,”Ortho4XP”フォルダー内の”Tiles”フォルダーに,今回は”zOrtho4XP_+34+132”というフォルダー名で納められています。
フォトシーナリーをX-Plane11に組み込むには,このフォルダーをCustom Sceneryフォルダーに入れれば良いのです。
しかし今後フォトシーナリーを作っていくに従い,ディスク容量が足りなくなる恐れがあるのでX-Plane11をインストールしているディスク以外の場所に格納することにします。
私は,ドライブDの”X-Plane_Link”フォルダーに,このフォトシーナリーフォルダーを入れました。
そしてこのフォトシーナリーをX-Plane11で使うために,Custom Scenery内にシンボリックリンク用のショートカットを作ります。
シンボリックリンクの方法は,次の私の記事を参考にしてください。
オーバレイデータをX-Plane11に組み込む
フォトシーナリーを表示する前処理用のオーバーレイデータは,”yOrtho4XP_Overlays”というフォルダー名で”Ortho4XP”フォルダー内に作製されています。
おそらく,複数のオーバーレイデータを作ると,このフォルダー内に格納されるのでしょう。
このフォルダーを”Custom Scenery”フォルダー内にコピーします。
オーバレイデータは,ごく小さいデータですので”Custom Scenery”フォルダー内に置いておいてもディスク容量を圧迫する心配はありません。
X-Plane11を起動しシーナリー定義データを作る
フォトシーナリーデータの移動作業が済んだら,定義データを作ります。
X-Plane11を起動して,すぐに終了したあと”Custom Scenery”フォルダー内の”scenery_packs.ini”をメモ帳で開き,次の画像のように編集します。
このときオーバーレイデータがフォトシーナリーデータの前に定義されるように編集します。
X-Plane11でシーナリーを確認する
無事広島市周辺のフォトシーナリーを表示することができました。
広島西飛行場から離陸して,広島市内上空を飛行するとマツダ本社工場の風景や平和公園そして広島城周辺の画像がはっきり認識できます。
都市部のフォトシーナリーは,地上の風景がランドマークになるのでVFRには効果的です。
国内飛行場には,ランドマークを記載したVFR用のチャートも用意されています。

広島市沿岸部のマツダ本社宇品工場の風景

広島市中心部の平和公園及び広島城の風景
フォトシーナリーの課題
フォトシーナリーの元になった写真画像の撮影時期が異なっているからなのか,エリアごとに樹木の色の違いが際立っています。
市街地は夏の色なのに,周辺部は秋の紅葉のようです。
色彩の整った元データがあれば,この現象は起きないのでしょうがいささか残念なところです。
また,広島空港に着陸の際に気が付いたのですが,元データに映っている広島空港の誘導灯橋が地上に投影されています。
本来は,オブジェクトで表示されるべきものですがフォトシーナリーの一部として表示されています。

画面中央に表示されたオレンジ色の誘導灯橋のフォトシーナリー
まとめ
OrthoXP4を使ったフォトシーナリーの作り方を説明しました。
今回,元写真の選び方によってシーナリーの出来栄えも変わってくることがわかりました。
元データをBIから替え,作成オプションを変更してシーナリーを作ることによって色合いは解決できるかもしれません。
また,作成区域を市街地に限定することができれば,市街地以外はフォトシーナリーを使わないという解決方法がとれるかもしれません。
その方法は,まだわからないのですが調べてみようと思います。
また複数エリアのフォトシーナリーを一括作製する設定もありますが,作製途中でエラーを起こすことがあるので,私はおすすめしないでおこうと思います。
コメント
以前から「フォトシーナリー」を導入したかったのですが、よくわからないのでそのままになっていました。貴稿を拝見し「Ortho4XP_v130」が入手できたので取り組むことにしました。
なんとか必要な「タイル」までは作成できたのですが、オーバーレイがうまく作れません。でもなんとかX-Plane11に組み込めたので、(デフォルトより美しい画像を気に入った)正解がわからないまま使っています。
いつも、興味ある記事を楽しく拝見しています。ありがとうございました。
お役に立てたようで,うれしく思います。
オーバーレイは,私もよく作るのを忘れます。
読み取る元ファイルを”Grobal scenery”にして,あとから”Extract overlays”にチェックを入れれば別途作成できます。
うまくいかないときは,具体例と共にフォーラムで質問して下さい。
ご教示ありがとうございます。今は、オーバーレイなしで動いていますが別途作成してみます。
ありがとうございます!!!
わかりやすい説明に感謝致します!
これから挑戦してみます!!!
どういたしまして。
編集作業はそんなに難しい作業ではありません。
慣れれば簡単ですから,大丈夫ですよ。
こんにちは。こちらを先に導入させていただきましたが、地表に航空写真を貼り付けただけの感じになってしまいオブジェクトがない状態です。
空港のビル等はどのように表示させたらよろしいでしょうか。
お時間ある時にでもご指導願いますでしょうか。
私がいろいろ試した結果ですが,空港オブジェクトは,フォトシーナリーよりも前に定義を書かないとフォトシーナリーにマスクされて表示されません。
フォトシーナリーは,空港定義のあとに定義するというのが鉄則です。
記事中の順番に定義を編集すれば,広島空港や静岡空港を例にとると,空港の建物は表示されるはずです。
シーナリーファイル定義の順番については,
http://www.tab-log.net/post-6485/
を参考にしてください。