風力発電所の風車は大きく遠くからでも見つけやすいのでVFRに役立ちます。アメリカの航空図には発電風車の場所が記載されていますが,日本の区分航空図には記載がありません。日本国内を飛行する時に役立つかもしれないと考えて,X-Plane11で使える発電風車について調べてみたので報告します。併せてOSMデータを使ったUSAの風車シーナリーと島根県の発電風車シーナリーをご紹介します。
VFRに役立つ発電風車を表示するシーナリー
風力発電所の風車は大きく遠くからでも見つけやすいのでVFRに役立ちます。
下の写真は,中国山地の山あいにある”浜田ウインドファーム”の風車群です。

“浜田ウインドファーム” SB Energyのページから引用
発電風車の位置は,アメリカのVFR航空地図には表示されていますが,日本の区分航空図には記載されていません。
X-Plane11のVFRで使うために,日本国内の発電風車を公開データに基づいて作る事ができないか調べてみました。
風力発電所のシーナリー
発電風車のシーナリーでの位置づけ
X-Plane.orgのフォーラムで”Wind farm“,”Wind Turbine“を調べてみるとWED developerであるtriplemon氏が次のように述べています。
-これらは手で配置してはならないものの主要な例です。それらの多くがあり、世界中で、OSMデータはそれらがどこにあるかにあなたをグローバルにカバーします。そのため、W2XPなどのサードパーティツールを使用して、それらを自動的に配置します。私はまた、少なくとも2人の作者が働いていて、それらをX平面にグローバルに追加するためのアドオンをまだリリースしていない場合があることも知っています。ですから、おそらくすべての再生可能エネルギー(しゃれた意図)をリダイレクトして、より多くの風力発電所のポイントとエリアをOSMに置きます。
X-Plane.org記事の日本語自動翻訳を引用
要約すれば,風車はOSMデータにあるのでw2xpなどを利用してデータ処理で配置するべきものだということらしいのです。
たしかにOSMデータへ風車を配置をすることができるようになっています。
OSMデータへのマッピング方法は”JA:Tag:generator:source=wind”というタイトルで掲載されています。
発電風車の公開データ
位置データ
アメリカ合衆国のデータ
アメリカ合衆国では,環境保護のため風車位置の緯度経度を数値データで公開しています。
これを元に作られたX-Plane11で表示できる発電風車シーナリーが公開されています。
タイトルは”USA_Wind_Farms 1.1.0“でX-Plane.orgからダウンロードできます。
このシーナリーを表示するために必要なライブラリーはOpenSeceneryXです。
風車のオブジェクトがOpenSeceneryXに含まれているからです。
日本のデータ
ところが,日本国内にある発電風車の位置データはあまり公開されていません。
そのためなのか,OSMには風車の位置がほとんど反映されていません。
いろいろ調べてみると発電所の位置だけは公開されていますが,風車の位置までは特定できません。
またNEDOが産業振興の立場から日本における風力発電設備・導入実績を公開しています。
風車の位置を特定できるデータとしては,一方国土地理院の1:25000地形図があります。
これには,風車の位置が記載されています。
国土地理院のページから引用
この数値地図から数値データとして取り出すことができれば,シーナリー作りに少し役に立つと思います。
発電風車のオブジェクト
“USA_Wind_Farms 1.1.0″で使っているOpenSceneryXの風車を調べてみると,高さの違いや形状の異なるオブジェクトがいくつがありました。
また回る風車のオブジェクトは,MisterXライブラリーにありますし,”X-Plane 11/10 Wind Turbine”というデータがFlyawaysimulation.comにありました。
島根県の発電風車シーナリー
シーナリーを作ろうとした動機
調べてみて判ったのが,私がふだんVFRで飛んでいる広島~出雲~米子の中国地方エリアには,結構たくさんの風力発電風車が設置されていることでした。
WED開発者の一人であるtriplemon氏の意見によると個別に風車を設置するのはやめた方がいいと言うことなのですが,そうはいっても自分がよく飛行している場所にあるVFRランドマークがないのは少し寂しく思いました。
そこで,島根県にある発電風車だけでも設置してみようと考えてシーナリーを作ってみました。
風車の位置決め
位置は,風力発電所や風車のページを探しておおよその位置をGooglemapで調べ,WEDの写真でその場所を表示して風車の位置を決めました。
風車の規格
オブジェクトデータの内容を見ると高さなど風車の規格が色々あります。
実際の風車の規格が判らないと,オブジェクトを選ぶのに苦労します。
あまり規格は公開されていないので,これも不満な点の一つです。
規格が公開されていても,利用できるピッタリのデータはないのですが,MisterXライブラリーには日本の風車の規格に近いものがありました。
シーナリーのダウンロードとインストール
この”OpenSeceneryX”と”MisterX”のライブラリーのオブジェクトを使って,島根県にある風力発電所の風車を設置したのが”Windfarm_Shimane“シーナリーです。
シーナリーは,ここからダウンロードできます。
このシーナリーには次の風力発電所が入っています。
Kirara Turi Maki Wind Farm
〇出雲市湖陵町大池風力発電所
Koryocho Solar Power Plant
〇十六島発電風車
Uppurui Wind Power Plant
〇なかうみ農村公園巨大風車(旧:安来風力発電所)
Nakaumi Rural Park(Yasugi Wind Power Plant)
〇新出雲風力発電所
Shin-Izumo Wind Power Plant
〇ウインドファーム浜田
Wind Farm Hamada
〇江津高野山風力発電所
Gotsu Koyasan Wind Power Plant
〇高津川風力発電所
Takatsugawa Wind Power Plant
〇隠岐大峯山風力発電所
Oki Omineyama Wind Power Plant
X-Plane11での表示
アメリカの風力発電所は規模が桁違いなので,X-Plane.orgにあるシーナリーの紹介画像をご覧下さい。
さて島根県の風力発電所は,広島西飛行場から浜田市に向かい中国山地を飛び越して出雲空港に向かうコース,あるいはその逆のコースで眺めることができます。
出雲空港から北に向かうと”新出雲風力発電所”の風車が見られます。
そこから南西に向かうと並んで”十六島発電風車”があります。
二つは,あまり距離が離れていません。

“十六島発電風車”の風車群
南西に向かうと”出雲市湖陵町大池風力発電所”と”キララトゥーリマキ風力発電所”を続けて見ることができます。

“出雲市湖陵町大池風力発電所”の風車 少し先に”キララトゥーリマキ風力発電所”の2基の風車があります
そして浜田市から広島市に向かうと山の尾根に”ウインドファーム浜田”の風車を見ることができます。

コックピットから見た”ウインドファーム浜田”

かなり広い範囲に広がる”ウインドファーム浜田”の風車群
まとめ
日本国内の風車シーナリーを作ろうと,アメリカのような風車の位置の公開データを探しましたが,見つけることは出来ませんでした。
日本の風力発電導入の取り組みは,他の国々と比べて遅れているとNHKで放送されていたことを思い出しました。
また風車に関する環境保護の取り組みについても,アメリカと比べて盛んだとは思えません。
今回調べてみて,自分の周りの風車だけでも意外にたくさんあることが判りました。
風車の位置を明確に公開してもらえば環境保護意識を育てることにもつながり,X-Planeのシーナリー作りにも役立つと思います。
そういう日が来ることを期待しましょう。
Enjoy, Flight!
この記事の画像は,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.50β16を使って表示しています。