1998年まで運用されていた香港の啓徳空港には”香港カーブ”と呼ばれたビジュアルアプローチコースがありました。FS98時代からのフライトシミュレーターファンにとって大型機で啓徳空港への着陸には心躍らされるものがありました。X-Plane11には発売された当時にはすでに廃港になっていたのでデフォルト空港には入っていません。操縦特性に優れたX-Planeでこの香港カーブを楽しみたいと考えられたファンがシーナリーを公開しておられます。このシーナリーを使って啓徳空港が運用されていた当時の香港を再現する方法を説明します。
今はない香港啓徳空港へのブジュアルアプローチを楽しむ方法
フライトシムパイロットを興奮させる香港カーブ
香港カーブとは南風の吹くことの多い啓徳空港(VHHX)に市街地の上をビジュアルアプローチで侵入するコースのことです。
X-Plane11が発売された時期にはすでに啓徳空港は廃港になっており,デフォルトシーナリーには啓徳空港はなくチェクラップコク国際空港(VHHH)が入っているので,最近フライトシミュレータを始めた方にはなじみのない場所ではないかと思います。
このコースで着陸することが多い啓徳空港は,”世界一着陸の難しい空港“と言われていました。
FS98時代から啓徳空港はフライートシミュレーターファンの間でメイグス飛行場やルクラ空港とともに人気のあった空港です。
現在でも啓徳空港の画像を集めたページや動画もたくさん公開されています。
”kai-tak-checkerboard-2″ by Daryl Chapman. Photo from flickr
現在公開されている啓徳空港シーナリー
啓徳空港(Kai Tak:[VHHX])シーナリーは,X-Plane10時代から公開されています。最近公開されたシーナリーもあるのですが少し課題があります。
そこで今回はX-Plane10時代に公開されたシーナリーを使う方法を説明するとともに,当時の香港の航空事情を想像させるようチェクラップコク国際空港がまだない風景に変更する私が作ったシーナリーを公開いたします。
2つのシーナリーはともにX-Plane.orgからダウンロードできます。
まず最初のタイトルは”VHXX Kai Tak Airport 1.1“です。
なおこのシーナリーの記事にあるアプローチチャートへのダウンロードリンクは切れており使えなくなっています。
X-Plane.orgより引用
空港コードが”VHXX“となっているので違和感がありますが,アプローチ目標となるチェッカーヒルと誘導灯を含めて再現しているのでこちらのシーナリーを用います。
ふたつ目は,”VHHX Kai Tak International Airport v1.0 1.0“です。
X-Plane.orgより引用
このシーナリーは,シーナリーにX-Plane11で廃止されたX-Plane10の標準ライブラリーパーツが組み込まれていて,それをユーザーがWEDで削除しなければX-Plane11で使うことができません。
また,チェッカーヒルもなく香港市街地を再現するためのw2xpを利用すると滑走路上に建物が出現します。
ただしこのシーナリーパッケージには貴重なチャートが付属しているので,そのためだけでもダウンロードする価値があります。
シーナリーのダウンロードとインストール
ダウンロード
“VHXX Kai Tak Airport 1.1“をX-Plane.orgよりダウンロードします。
ダウンロードしたファイルは,”Kai Tak with Lead-in Lights v1.1.zip“です。
表示に必要なライブラリーとVFR用オブジェクトデータはつぎのとおりです。
RE_library
The-Fruit-Stand Aircraft Library
w2xp asia
使う前にあらかじめ導入しておきましょう。
インストール
シーナリーのインストールは次のとおりで,通常のフリーシーナリーと変わりはありません。
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ダウンロードしたファイルを適当な場所で展開します。
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展開してできた”Kai Tak with Lead-in Lights v1.1″フォルダーを開きます。
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なかにある”Kai Tak with Lead-in Lights“をX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内にコピーします。
ICAOコード修正用シーナリー
この”Kai Tak with Lead-in Lights“シーナリーを導入し,”VHXX“または”Kai Tak“で空港を選びフライトを始めます。
まず13番滑走路から離陸するのが簡単です。
次に説明する修正シーナリーを導入していないと前方に別の小さな飛行場が表示されることがあります。
この飛行場はX-Plane11.36では”Hong kong Old VHHX”と表示されます。
X-Plane11.41では更新の時期によってこの飛行場が表示されることがありますが”場所メニュー”からは選択できません。
また,更新時期の違う11.41r1やVer11.50bでは表示されません。
私はX-Plane10でコードVHHXが使われていたので,作者の方がシーナリーコードをVHXXとしたのではないかと考えました。
X-Plane11では,同一コードでシーナリーの上書きができるので,X-Plane11用のデータでソースコードがあればVHHXに修正は可能です。
“Kai Tak with Lead-in Lights v1.1″シーナリーはX-Plane10用ですので,無理矢理データをWEDに読み込んでも,出力の時に多くのエラーが発生するため単純に変換することができません。
そこで,ジャマをしている”Hong kong old(VHHX)”の上書きまたはVHHXの新設を行うことにしました。
具体的にはオーバーレイデータとして透明な”VHHX_Hong kong Kai Tak”シーナリーを作って”VHXX”にかぶせたのです。
このシーナリーを使うことで,”VHXX”上に表示される”Hong kong old(VHHX)”を消すことができます。

Hong Kong Oldの消えたKai Tak
また空港選択画面で”Hong kong Kai Tak VHHX“を選択できるようになります。
ただしこのオーバーレイシーナリーは完璧ではありません。
なおATCはシーナリー内に定義していないので,VHHXコードを誘導やアプローチのATCでは利用できないことをあらかじめお断りしておきます。
このシーナリーを利用して表示した啓徳空港のロケーション画像です。
このシーナリーは,透明な滑走路と駐機スポットだけを定義したシーナリーです。
マップで見ると,空港は一つですが”VHHX”と”VHXX”のコード表示がダブっています。
X-Plane11での表示
全景は次の画面をご覧下さい。

空港全景
ターミナルをはじめ周囲の町並みや重要なチェッカーヒルも表示されます。

ターミナルビルです

チェッカーズヒルと誘導灯です。

夕方の眺めも格別です
チェクラップコク国際空港を隠すシーナリー
さてこのままでは,”Kai Tak(VHHX,VHXX)”と”Chek Lap Kok(VHHH)”の二つの国際空港が同時に存在することになります。
こだわりのある私としては,“Chek Lap Kok(VHHH)”が完成する前の風景を再現することにしました。
残念ながらデフォルト空港を削除することはできません。
そのために作ったのが”VHHH_Chek Lap Kok Airstrip“シーナリーです。
このシーナリーは,先にご紹介した”隠すシーナリー”を発展させた置き換えシーナリーです。
“Chek Lap Kok International Airport(VHHH)”をATCのない小さな草地の飛行場である”Chek Lap Kok Airstrip(VHHH)”に変えてしまいます。

小さな草地の飛行場である”Chek Lap Kok Airstrip(VHHH)”
次の画面のように,造成直後の埋め立て地を再現し空港周囲の建物や橋もきれいに隠すシーナリーです。
“VHHX_Hong kong Kai Tak”シーナリーと”VHHH_Chek Lap Kok Airstrip”シーナリーをひとまとめにして,ここからダウンロードできるようにしました。
使い方は,ダウンロードした”Kitak_Hide_pack.zip“をX-Plane11のCustom Sceneryフォルダー内に展開し,Scenery packs.iniファイルの定義で”Kai Tak with Lead-in Lights”の下位に置くだけです。

Scenery packs.iniファイルの定義部分
このシーナリーの無効化は,Scenery packs.iniファイルに”_DISABLED”定義を加えることで実現できます。
詳しくは私の過去の記事を参考にしてください。
まとめ
今回の記事をまとめるにあたって,X-Plane11の二つのバージョンで試してみました。
おかげでX-Plane11のバージョンアップの変遷に伴う”幽霊空港”の存在を知ることができました。
セスナ機で香港カーブを体験しましたが,やはり着陸は難しいです。
ましてや大型機ならなおさらですね。
シミュレーターですから,練習してB747-400を着陸させてみませんか。

セスナ機での香港カーブ体験飛行 矢印が有名なチェッカーヒルです。
Enjoy, Flight!
この記事は,次の製品のオンラインバージョンアップ版11.36と11.41で表示確認をしました。
コメント
こちらの記事を見てカイタックのシーナリーを知り、導入してみました。ライトもしっかりしてて臨場感があって楽しいですね!
ちなみにこちらの空港は追加シーナリーだからILSがなくて少々やりにくいのが残念です・・・
X-Plane11にはユーザーが独自にILSを追加できるようになっています。
シーナリー自体にILSは追加できませんが,ILSの定義は別のフォルダーでおこないます。
実例は”X-Plane Japan Hangar”でSir.Jakeさんが紹介されていますし,”VHHX Kai Tak International Airport v1.0″にはILSチャートがありますから試してみられてはいかがでしょうか。
初めまして、Hirorinと申します。pbookさんと同年生まれのおっさんシマー(FS歴20年)です。
X-Plane11を使用して約半年、いつも記事を参考に有用なアドオンをインストールしてフライトを楽しんでいます。
私は主に旅客機でのフライトが多く、カイタックは操縦技量向上のためにもチャレンジし甲斐のある空港なので、747や777での離着陸にモチベーションが大いにアップしてしまいます。
ところで、pbookさんのホームベースである広島西空港が「広島ヘリポート」に転換して施設工事中なのですね。
既にご存じかもしれませんが、広島ヘリポートのX-Plane11用βバージョン・シナリーが「X-Plane Japan Hangar」で公開されています。有益な情報や周辺まで再現された素晴らしい「調布飛行場シナリー」もダウンロートできますので、是非、HPにアクセスしてみてください。
申し訳ありません。このコメントがスパムとして分類されていたため目に触れるのが遅れました。
スパムとして分類された理由は不明です。
香港カーブお気に召していただけたようで有難いです。
もうすぐ香港カーブにふさわしい機材の記事を投稿いたしますのでご期待ください。
pbook 様
早速にコメントを掲載していただき、誠にありがとうございます。
スパムに分類ですか、何故でしょうね。ウイルスチェックは必ず実行しているし、プロバイダーも
信頼できる会社のはずなのですが。いずれにしてもpbookさんにコメントが伝わって嬉しいです。
>もうすぐ香港カーブにふさわしい機材の記事を投稿いたしますのでご期待ください。
更にX-Plane11がエンジョイできますね。ワクワク・ドキドキで待っていまーーす。
コメントは”Akismet Anti-Spam”プラグインでフィルタリングしています。英語圏のものですから日本語の文章を解釈するのは苦手なのでしょう。2バイト文字を1バイト文字で解釈してフィルタリングするのでこんなこともあるのではないかと思います。
ご期待にお答えできるよう,機材の記事を前倒しで投稿します。